入浴する人のことを心から思いやった湯船が充実しているのもこの宿の魅力だ。混浴露天に身を沈めれば、緻密な湯船のデザインに誰もが感心するはず。湯船の中には高さの違う大きな岩がいくつも配置され、ここでは腰湯、こちらでは寝湯という具合に、好みの湯浴みを楽しめるのだ。
また、趣向を凝らした家族風呂も3カ所ある。清流と緑をのぞむ展望抜群の桶風呂をはじめ、風雅な檜風呂、野趣溢れる切り石風呂などを、空いていればいつでも貸切利用できるのだ。家族風呂という言葉どおり、2人というよりは、家族数人で入るのにちょうどいいゆったりサイズ。こんな風呂をカミさんと独占するのもたまには悪くない。
加えてうれしいのが、良心的な料金。源泉かけ流しの内湯がついた客室が1万9050円というのは、関東近郊の温泉と比べるとかなりリーズナブル。
「黒川がどんなに人気があるといっても、自然と温泉しかないし、接客は小国弁を話す田舎のおばちゃん達で、料理だって素朴な山の料理しかお出しできないでしょ。こんな山奥に来ていただくんですから、できるだけお安く泊まっていただきたいじゃない」とは女将・後藤さんの弁。黒川温泉では珍しく一人旅がOKで、料金も変わらない。女将の温かで太っ腹なところにも、『山河旅館』の癒しの秘密があるのかもしれない。
自遊人2004年10月号別冊『温泉図鑑・秋』より転載。 |
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| 雑木林と渓流に囲まれた混浴露天風呂。鉄分を含んでいて、湯船の石は真っ赤(上)檜の内湯も貸切(下) |
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