福島の高湯温泉は、蔵王や白布お並ぶ奥州三高湯のひとつ。どんな病気でも3日入れば直ると言われる名湯である。ここ『安達屋旅館』は開湯と共に興した歴史ある温泉宿で、創業は慶長12年(1607)。平成19年に400年目の節目を迎えた。
内湯には男性用の『不動の湯』と女性用の『姫の湯』、宿泊者のみが利用できる家族風呂の『ひめさ湯り』の3つがある。
『不動の湯』は、窓からこの宿を守る不動尊が見えることからその名がつけられた。不動明王が立っているすぐ傍には薬師堂があって、その朽ちかけた佇まいが歴史の重さを感じさせる。
『姫の湯』は、宿のある吾妻山を舞台に権現天狗と姫神のロマンスを描いた、泉鏡花の小説になぞらえている。湯殿はどちらも天井が高く、湯船は素朴な石造り。木の床が肌に優しくなじんで、しっとりとした温かみが足の裏からも伝わってくる。
青みがかった乳白色の湯が湯口から滔々と湛えられ、肩口までゆっくりと湯に浸かれば、湯の花がふわりと肌を包んで極上の気分である。何分もしないうちに肌がスルスルしてきて、「さすが源泉100%を誇るだけのことはある」と感心しきり。
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