「峩々」とは“際立って険しい、荒々しくゴツゴツした”という意味。蔵王国定公園の中に建ち、周囲には民家ひとつない。湯の平、四万と並んで「日本三大胃腸病の名湯」と称されるこの峩々温泉は、東北大学医学部教授のお墨付き。慢性の消化器疾患や肥満症など、湯の効能をより実感するには、大浴場の『あつ湯』が良い。
宿の裏手15mほどの所に源泉が自噴しており、浴槽に注がれた湯はわざわざ『あつ湯』と呼ぶだけあってかなり熱い。とてもじゃないが湯船には入れないのでちょっと変わった入浴法が生まれた。
「“かけ湯”と言うんです。浴槽のへりに置いてある木の枕に頭を乗せてスノコの上に寝そべり、竹筒で湯を汲んで体に掛けてください」
胃が悪ければ胃のある部分に、腸が悪ければ下腹部に。治したい箇所に100回くらい掛けると良いのだそうだ。「昭和初期、湯治客の間で自然発生的に誕生した」と6代目当主の竹内さんは言葉を続けた。
「昔は、“かけ湯”用の備えなどありませんから、桃缶などの大き目の空き缶を桶代わりに、本来の桶を引っくり返して枕代わりに使っていたんですよ」
この『峩々温泉』名物の浴場は平成19年の1月末に新しく改良されてオープンする予定。今は湯船の外側の床に寝る格好だが、今度はへりの部分を広くして、そこに寝ることができるようにデザインされている。現在のスタイルで入るなら、これから1月までの3ヶ月ほどしかない。 |