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『元禄の湯』は源泉100%にするため、熱い湯に冷ました湯を加えている。源泉は80度の高温で湯量も多いため自然冷却は不可能。よって、水を入れたタンクの中に、源泉が流れるパイプを通すという方法で、水や空気に触れさせない工夫をしている。
だが、黒澤さんは
「今は、『元禄の湯』だけですが、そのうち全浴槽に応用したい」と抱負を語ってくれた。純粋な源泉の湯に並々ならぬこだわりを持っているのだ。
「松田忠徳先生の本を読んだら、『これから生き残る温泉』として四万の名が挙がっていたんです。それは嬉しくもありプレッシャーでもあって。湯治の原点に帰ることが大事だと気づかされました」
昔は近所の人々が農閑期に味噌や米を持って長逗留し、次への活力を養っていた。その本来の姿を守るため、黒澤さんはこの老舗旅館の大改革に乗り出した。
「13年ほど前に私がこの宿を引き継ぐことになった時、長い歴史の上に緩慢とのけぞる怖さを目の当たりにしました。役所勤めしかしたことがなかった私ですが、それ以来伝統や格式と衝突しながら進む日々です」
湯だけでなく料理からサービスまで様々なものが改善された。老舗旅館に新しい風が吹き込むことで、宿は新たな生命力をみなぎらせている。
※自遊人2006年12月号別冊『温泉図鑑』より転載
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