3つ星料理人の神田裕行さんが
最高のコシヒカリを求めて魚沼に。

ミシュランガイド東京で三つ星に輝いた、元麻布の日本料理店『かんだ』。
日本一美味しいコシヒカリを探していた神田裕行さんが「これだ!」と惚れ込んだのは、魚沼産コシヒカリ、鈴木清さんのお米でした。
「味に迷いがないんです」
神田さんがそう言って選んでくれたことは、生産者にとっても、私たち自遊人にとっても、大きな誇りです。
魚沼産コシヒカリと一口に言っても様々

魚沼産の中でも「南魚沼産」、
南魚沼産の中でも「西山地域」、
西山地域の中でも……。


2008年3月号「日本料理の基礎知識。」が発売されて数日後、突然電話が鳴りました。

「雑誌をよく読んだら、自遊人って魚沼にあるんですって? しかもお米を販売していて、地域、さらに農家まで選べるって書いてあるけれど、それって本当?」

電話の声はミシュランで3つ星に輝いた『かんだ』のご主人、神田裕行さん。さすがは3つ星料理人、魚沼産だけでなく東北各地のお米の状況を詳しくご存じでした。

「ずっと魚沼産コシヒカリを使ってきたんですけれど、最近、秋田とか、東北地方のお米に興味があるんですよ。でもね、魚沼産の地域と農家を限定したお米を食べられるなら、ぜひ試食してみたいですね。とくに南魚沼の西山地域の農家のお米を食べ比べてみたいですね」

そこで自遊人では、魚沼地域でも指折りの美味しいコシヒカリを作る、数軒の農家のお米を送って試食してもらいました。そしてしばらく経って……「ぜひ、魚沼に行って現地を詳しく見てみたいんですが、案内してもらえますか?」

「はい、もちろんです」

右岸は岩山、左岸は……

そして4月下旬。神田さんと、お店のスタッフのみなさんが、魚沼へ視察にやってきました。

自遊人で「ぜひ!」と会ってもらったのは、減農薬栽培に取り組み、西山地域でも指折りの美味しいお米を作る鈴木清さん、有機栽培で地域の活性化まで考えている今井守夫さん、自分で苗まで作る有機栽培農家の根津征二さんの3人。

まずは魚沼地域の地形を見てもらいました。ガイドは自遊人編集長の岩佐。

「南魚沼には真ん中に魚野川が流れているんですが、その両側に山が連なっています。魚野川の右岸(東側)は標高2000mクラスの上信越国境へと続く岩山。そして左岸(西側)は標高1000m以下の山が連なっています。左岸の山のきわは小さな断層がいくつも走っているんですが、山は砂壌土と粘土質。ほら、ところどころに崖崩れのような跡が見えますよね。右岸の岩肌とは対称的です。それで、その西側の山一帯をこのあたりでは“西山”と呼ぶんですよ」

「なるほど、西山と言っても、エリアはかなり広いと」

「そのとおりです。さらに西山は断層地帯なので、崖線から豊富な水が湧いています。その清水が美味しい魚沼産コシヒカリを作ると言われています。でも皆さん、よくご存じの通り、西山の中でも“とくに美味しい!”といわれる地域があって、それが旧塩沢町の君沢、大沢、樺野沢といわれる、3つの沢の周辺なんです。ではさっそく、大沢の農家、鈴木清さんの田んぼをご案内します」
新潟県の南端に位置するのが魚沼地区。新潟県全体が米どころとして知られてはいますが、実は、“本当にいい米がとれる”と言われる「特A地区」として認められているのは、このごく一部でしかないんです。
魚沼の中央を縫うように流れる魚野川。この左岸に当たるのが、「西山地区」です。
南魚沼の主な耕作地域を上から見下ろすと、魚野川を挟んで、その沿岸全域が田んぼになっていることがよくわかります。
この周辺の地理や地質について、神田さんご一行に地図を見ながら説明。興味深そうに聞いてくださいました。

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