日本の料理はご飯あってこそ。
だからとことんこだわってます。
2001年9月、木曽福島の養蚕農家と松本の古民家を移築してリニューアルオープンした『三水館(さんすいかん)』。鹿教湯(かけゆ)温泉街から少し離れた、川沿いの静かな場所に佇んでいる。“宿”に期待するものは人によりさまざまだろうが、この三水館、とにかく料理が旨い。ご主人と女将さんが手作りする料理は評判を呼び、料理目当てに訪れるお客さんがひきも切らない。今では1〜2カ月先まで予約が取れないという人気宿だ。
飾らず素朴な家庭料理の味なのに
食の専門家までもをうならせる
ご主人が「まったくの独学ですから」というように、並ぶ料理はどちらかといえば惣菜の延長線上。それでも食の専門家までもが「三水館の料理は美味しい」と口々にいう。
その理由は、徹底した素材主義にあるのだろう。「うちの料理は素材に助けられている」とご主人は笑うが、米や野菜、肉から始まって、味噌、醤油などの調味料、そして昆布や鰹節などのだしまで、これだけ素材を吟味している宿は少ない。テーブルに並ぶのは、野草や山菜、地元の野菜を使った、素朴だが温かさ感じる家庭料理の数々。春なら『草鍋』やタンポポのサラダ、山菜グラタン……。夏には新鮮そのものの旬の夏野菜、秋には地場産の松茸や名物「きのこ鍋」など、一年を通して自然の恵みが登場する。
「お客様によっては、山菜を“ただの草”とおっしゃいますが、山に摘みに行くのに2〜3時間、下ごしらえに1〜2時間。本当は売っている山菜を買ったほうがよっぽど簡単(笑)」
「日本食は、まず米のご飯ありき。」
田んぼを指定して仕入れるこだわりの米
料理の素材に並々ならぬ情熱を傾けるご主人、滝沢さん。もちろん、“ごはん”へのこだわりだって人並みではない。
「日本食は、まず米のご飯ありき。ご飯やみそ汁が美味しいからこそ、おかずも引き立つと思うんです」
そう語るご主人が選んだ米は、宿から車で30分ほどの、長野県・旧北御牧(きたみまき)村、八重原地区のコシヒカリ。旧北御牧村は、米どころとして名高い魚沼を流れ抜ける信濃川の上流、千曲川の源流部にあたり、信州でも米の美味しい地域として知られている。
そのなかでも八重原は特別なエリア。保水性の高い強粘土質の土壌で、蓼科山の伏流水を引いて作られるその米は、甘味、ツヤ、粘り──どれをとっても、魚沼産コシヒカリの特級品と比べてまったく引けをとらない。生産量が少ないため、ほとんどが料亭などに直行する貴重な米なのだ。三水館では、穫れる田んぼまで指定した米を仕入れているという。
千曲川源流部の清水で育てられた米を
山の清水で炊く
程よい粘りとコシ。なめらかな舌触り……。粘土質の土で育った米ならではのモッチリとした食感の中から、噛むほどに甘さがにじみ出てくる。
「最後に味を左右するのはやっぱり炊く水。まろやかな水でないと甘みが出てこない。このあたりの水道は少し硬いから、山奥の清水で炊かないと本当の米の味が出ないんです」
滝沢さんの1日は、野草採りと水汲みにほぼ費やされてしまいそうだ。ただ、この地道な苦労が料理を支えているのも事実。
「東部町にも気になる米があるんだよね」
たかがご飯、されどご飯。滝沢さんのこだわりはまだまだ続くのである。
| 三水館 【長野・鹿教湯温泉】 |
| 所在地:長野県上田市西内1866-2 |
| TEL:0268-44-2731 |
| 定休日:不定休 |
| 宿泊料金:15,900円〜(休前日も同料金)、日帰り不可 |
| 施設:和4室、洋1室、和洋1室、離れ1棟(全T付) 、男女交替制露天風呂付内湯2 |
| チェックイン:14:00 |
| チェックアウト:10:30 |
| 電車でのアクセス:長野新幹線上田駅から鹿教湯温泉行きバスで1時間、JR中央線松本駅からは40分、『鹿教湯橋』下車徒歩5分 |
| 車でのアクセス:上信越自動車道東部湯ノ丸ICから国道18号、152号、254号経由で約40分。長野自動車道松本ICから国道254号経由で約40分 |
| 地図:Google マップ |
| HP:三水館 |
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2001年に古民家を移築してリニューアル。木と土壁に包まれる館内は、落ち着いた居心地のいい雰囲気に満ちている。
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山菜や野草は、ご主人自らが近くの山などに出かけて採ってくる。心のこもったもてなしも人気の秘密。
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米はもちろんのこと、味噌、醤油などの調味料、昆布や鰹節といっただし素材まで、底力のある本物にこだわっている。
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献立には季節の食材が満載。秋には、ご飯ももちろんだが、きのこを使った料理も見逃せない。
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「独学ですから」と言いながらも、ご主人の研究熱心さはすごい。料理の腕前はぐんぐん上がり、今では立派な板前?
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