味わいの温泉宿

藤三旅館【岩手・鉛温泉】

寒い季節に訪れたい、よ〜く温まる本物の温泉。文人たちも愛した風情ある欅造りの宿で、岩盤から湧き出る源泉を満喫。長期滞在可能な湯治部も兼ね備えた、鉛温泉『藤三旅館』をご紹介します。

昭和16年竣工の総欅造り!
文人も愛した豪華な建物


 「藤三旅館」には、旅館部と湯治部があり、旅館部は、昭和16年築の木造3階建て。柱、梁、天井に至るまですべて欅という豪華な建物だ。田山花袋や田宮虎彦が逗留していたことでも知られ、客室からすぐ下を流れる豊沢川を眺めていると、大作のアイデアも浮かんでくるような気がする。

旅館部に鉄筋コンクリート造の客室もあるが、この宿の魅力を満喫するならやはり木造部分の客室、しかも川側がいい。トイレはいったん廊下に出てから。少々不便だが、そんなことは気にならないほど、趣に溢れている。

足下から源泉がこんこんと!
600年前から湧く歴史ある湯です

今から550年前、岩窟から出てきた白猿が温泉で傷を癒しているのを見つけ、当主一族が利用することになったという鉛温泉。名物の『白猿の湯』はこのエピソードにちなんで名付けられたもので、湯船の底の岩盤からは源泉がこんこんと沸き続けている。

温泉は、国内第一位の炭酸含有量を誇る良質な湯。湯船に体を沈めると、炭酸の泡が肌に付着し、さらに豊富な成分がグググっと染み込んでくるのを実感する。「炭酸効果に加え、塩分が多いのでよく温まります」とはご主人の弁。

温泉の後には山の幸に海の幸

 旅館部での料理は、地元で採れた山の幸、三陸の海の幸など、季節が感じられる料理となっている。どれもしっかり丁寧に調理されており、量も多い。湯治部では、自炊棟があり、調理に必要な道具が揃っている。目的に合わせて利用できるのも魅力の一つである。

藤三旅館【岩手・鉛温泉】
所在地:岩手県花巻市鉛字中平75-1
TEL:0198-25-2311
宿泊料金:1泊2食9,000円〜(休前日2,000円増)
日帰り入浴:7:00〜21:00 受付〜20:00(700円)
チェックイン:15:00
チェックアウト:10:00
車でのアクセス:東北自動車道花巻南ICから約20分
予約:要予約
地図:Yahoo! 地図
HP:藤三旅館
旅館部の本館は、昭和16年竣工の総欅造り。田宮虎彦はこの宿に逗留して『銀心中』を書き上げた。
浴場自体が地下に掘り込まれ、さらに湯船が豊沢川の川底の深さまで掘り下げてある『白猿の湯』(混浴)。深さは約1.4mほどあり、底の岩盤から源泉が湧き出ている。
山の幸・海の幸を楽しめる夕食。量も多く、旬の物を味わえる。