味わいの温泉宿

相模屋旅館【福島・新野地温泉】

日本有数の温泉地帯の中でも、絶景の露天風呂を味わえる新野地温泉。山の湯らしい鄙びた風情を楽しむ内湯に、ダイナミックな噴煙を間近に臨む野天風呂。一度訪れたら、忘れられない場所となる、新野地温泉『相模屋旅館』をご紹介します。

荒々しい景観と乳白色の湯
秘湯の神髄がここにある

福島、山形の県境は、日本有数の温泉集中地帯。二県にまたがる吾妻連峰は、那須火山帯最大の火山群であり、姥湯、五色、滑川温泉(山形県)、土湯、高湯、岳温泉(福島県)など魅力的な温泉が多い。

さらに福島県側を細かく見てみると、磐梯吾妻スカイラインの土湯峠側の入口には、野地、新野地、鷲倉などが点在。ほとんどが自家源泉を持つ一件宿で、なかでも新野地温泉の『相模屋旅館』はダイナミックな景色と乳白色の湯が楽しめる野天風呂で知られている。

ゴウゴウと立ち昇る噴煙
絶景の露天風呂


『相模屋旅館』の建物はごくごく一般的な鉄筋四階建て。秘湯というにはいささか立派すぎる。だが、建物の裏手、山肌に造られた野天風呂へ向かうと雰囲気は一変する。

宿泊棟から渡り廊下を下って行くと、昔の湯治場の面影を残す鄙びた内湯がある。そこを通り過ぎ外へ出ると、硫黄の匂いが漂い、鬼面山の山肌からゴウゴウと音をたてて立ち昇る噴煙が目に入る。野趣あふれるという言葉では表しきれない、まるで地獄絵のような荒々しささえ感じさせる景観だ。

木道のような通路を歩いて行くと、道は男湯と女湯に分かれ、野天風呂に到着。ブナやダケカンバなどの細木で簡単に組み込まれた囲いの中に、乳白色の湯をたたえた湯船がある。

自然との一体感を味わい
開放感は抜群!


とにかく開放感は抜群。噴煙が間近に見られ迫力も満点だ。源泉はすぐそばにあり、湯船には源泉がそのまま注がれている。もちろん100%かけ流し。時には水で薄めることもあるそうだが、湯温は熱め。じわじわと肩まで沈めると、青みがかった乳白色の湯が身体を包む。

湯の色は濃いがサラリとした肌触りで、とにかく気持ちがいい! 身体が火照ってきたら湯船に腰かける。眼前には、勢いを衰えることなく蒸気を吹き上げる噴気孔。まさに、自然との一体感が味わえる。夜には満天の星空が頭上に広がり、早起きすれば風呂から朝日を拝むこともできる。

風呂は木造り
料理は地のものを!


「風呂は全て木造り。自然の中の風呂だから、木の温もりを大切にしてるんです」 最近ではこの雰囲気が女性にも人気なようで、若い女性グループも多いとか。

こうしたこだわりは、料理にも。地のきのこ、山菜、川魚など、地の物を季節に応じて堪能できる。皿数も多く、ボリューム満点の食事である。

冬期も宿までの道は除雪されているので、雪景色や雪見風呂が楽しめる。

相模屋旅館【福島・新野地温泉】
所在地:福島県福島市土湯温泉字野地2
TEL:0242-64-3624
宿泊料金:1泊2食/10,650円~(休前日同料金) 日帰り/10:00~15:00(500円)
施設: 和23室(BT付5室、T付18室)、男女別内湯各1、男性用露天風呂1、女性用露天風呂2、休憩室(個室)、売店
車でのアクセス:東北自動車道福島西ICから約45分
予約:要予約
地図:Yahoo!地図
HP:相模屋旅館
内湯は檜風呂。窓から高原の風が吹き込む。
宿泊棟から見た野天風呂と噴気孔。
宿の脇にある源泉地帯の湯畑から硫黄泉がダイレクトに注がれる露天風呂。
料理は、山菜を中心とした地の物が一年中登場する。
客室は簡素だが、清潔で快適。真冬でもしっかり暖房が効いて、ぬくぬくなのがうれしい。