トップページ もう一度泊まりたい宿 第6回 あさば【静岡・修善寺温泉】

第6回 これぞ本物!日本の名宿。

あさば【静岡・修善寺温泉】

「最近、紹介する宿が山小屋とか、秘湯の宿とかに偏っていませんか?」
そんなメールをいただきました。

はい。たしかに偏っています。
最近、個人的には、すっかり高級旅館にはご無沙汰しておりまして。

で、なぜ「ご無沙汰なのか?」といえば、それは正直なところ「馬鹿馬鹿しい宿が多いから」。

だってですね、最近、オープンした高級旅館は、はっきり言ってひどすぎます。泊まりに行って、会計するときの虚しさはなんと表現したらいいんでしょう。あれは詐欺ですよね。

はりぼてのけばけばしいチープな建物に客室露天風呂を作って、4万円、5万円。そんな宿が各種雑誌のトップを飾ったりしているのですからたまりません。

じゃあ、昔からの有名旅館なら間違いないのか? といえば、そうとは限りません。きっと箱根、熱海あたりの超有名旅館に泊まって、

「あれ?ここってそんなにいい宿なのかなぁ」
「ええ?本当にここは各方面で絶賛されているあの旅館?」

なんて経験をした方も多いに違いありません。で、「私が自腹で泊まるなら」、ということでおすすめできるのが、修善寺の『あさば』だったりするわけです。

あさばについてはあまりに有名ですし、『自遊人』08年5月号の「日本の宿グランプリ」では3年連続のグランプリ。07年1月号には覆面訪問記も掲載しています。

ですから、ここで詳細を語る必要はないと思いますが、ひとつだけ言えるとすれば「伊豆・箱根で数少ない真っ当な高級旅館」というところでしょうか。

美的センス、料理、接客、すべてにおいてバランスがいい。

車が到着した音を聞きつけて「いらっしゃいませ」。門の奥に玄関があり、どちらも存在感がある。

部屋に案内されたらまずはお茶を。この日の湯呑みは修善寺の人気作家・花岡隆作。窓からは能舞台が望める。低料金の客室は能舞台を望む位置にあり、高い客室は能舞台からは離れているがその分静かな庭園に面している。どの客室を予約しても満足度が高い絶妙な配置。