魚沼野菜を使った若女将の季節料理 “わが家のお総菜風”
宝巌堂のある栃尾又温泉は、古くから天然ラジウム温泉が湧き出る湯治場として愛されてきました。温泉に含まれているラジウムの量は、日本第2位ともいわれています。人肌と同じ37度の温泉は、湯船に手を入れると一瞬「冷たいかな」と思うほどぬるいお湯。しかし、じっくり1〜2時間も浸かっていると、体の芯からぽかぽかと温まり、さらさらの汗をかいてすっきり爽快。湯治の常連さんは湯船で本を読んだり、顔見知りの人と話をしたりしながら、大抵2〜3時間は出てきません。
その湯上がりに楽しみたいのは、食べきれないほどの品数が並ぶ会席ではなく、野菜たっぷりの滋味あふれる家庭料理。そんな体の声に、宝巌堂の料理はやさしく応えてくれます。 この日の夕食は、サトイモのごま味噌和えや大豆のかき揚げなど、地元の野菜を中心としたメニュー。 お米は隣町の湯之谷で栽培した魚沼産コシヒカリです。野菜は湯之谷や小出で栽培されたものを中心に、なるべく近いところから取り寄せています。春には近くの山で採れた山菜、夏には梨なすや夕顔など、新潟の伝統野菜を使った季節料理が食卓を飾ります。 加工食材へのこだわりも強く、豆腐は県内産大豆100%を使用したもの。こんにゃくは若女将の叔父さんがコンニャクイモから練った自慢のこんにゃくです。市販のこんにゃくとは比べものにならない美味しさ。柔らかで口当たりがやさしく、味がよく染みこんでいます。 「素材を吟味し、丁寧に作られた加工食品は格段においしくなります。加工食品はとくに、出所のわかる安全なものを使いたいですね」。
少し気になったのは、調味料のこと。5年前に調味料を大幅に見直し、質のよいものに一新したそうなのですが、今はまだ無添加・天然醸造の調味料と化学調味料入りが混在しています。 その一方で、だしは素材から丁寧に引いているのですから、調味料が無添加のものに統一されれば、どんな美味しさが生まれるのだろう、と思わず想像してしまいます。地元の新鮮な食材を、だしと無添加の調味料を使って、丁寧に調理したお総菜なんて、最近ではなかなか食べられない貴重な料理。それこそ、“永久に残したい本物の味”です。 「第一次調味料革命から5年たったいま、また見直しをはかる時期なのかもしれないですね」。 若女将の言葉に、宝巌堂のこれからの展開に期待がふくらみます。