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かねさま蕎麦会 Kanesamasoba
雪国A級グルメ総合評価 

新潟県津南町
関越自動車道塩沢石打ICから国道352号経由で約40分
JR飯山線津南駅より徒歩0分(津南駅構内)




1. 秋山郷に伝わる在来種の蕎麦を味わえます。
2. つなぎにオヤマボクチと布海苔を使用。オヤマボクチは自家栽培です。
3. 土づくりから栽培、製粉、手打ちまですべて自力でやっています。


栽培から手打ちまで、すべて自分たちで

安全・安心な蕎麦を、自信を持って届けるために
 かねさま蕎麦会を地図で検索したら、出てきたのはJR飯山線津南駅。「ん?ここ、駅そばじゃないよね?」。一瞬、甘めのつゆに伸びかけの麺の入った駅そばが頭をよぎる。栽培から手打ちまですべて自分たちでやっている蕎麦屋と聞いていたのだけど…と、少しとまどいながら取材に向かいました。
 さて、津南駅に着いてみると、駅の玄関に大きく「かねさま蕎麦会」という看板がかかっています。ちょっとホッとしながら駅の構内を探してみると、その店は売店の奥にひっそりとありました。
 扉を開けると「いらっしゃい」と威勢のいい声が出迎えてくれます。厨房の暖簾から作務衣姿で顔を出したのは、かねさま蕎麦会の理事長滝沢元一郎氏でした。

 かねさま蕎麦会は、約30人のそば好きの会員からなるNPO法人です。食品の偽造・改ざんが社会問題化するなか、自信をもって提供できるのは、自らの手でうそ偽りなく作ったものであるとの想いから、栽培から食卓に出るまでの工程を、すべて自分たちで行っています。
 畑があるのは、標高1,000メートルほどの津南町小松原地区。広さは約16町歩。ほとんどの土地が長年放置されていた耕作放棄地だったため、最初はチェーンソーで木を切り、草を刈り、トラクターで根を掘り起こすことから始まったそうです。
 現在は月・火を定休日にし、その日に会員が農地整備や畑仕事をしています。もちろん無農薬栽培。生産が軌道にのった今では、高冷地農業技術センターと提携して土壌の成分分析などを行い、高品質の蕎麦を安定して生産できるようにがんばっています。なぜなら、蕎麦は同じ畑で同じように作っても、なぜか年によって味わいが変わるから。毎年同じ品質のものを作り続けるのは、蕎麦の場合、とても難しいそうです。

 品種は秋山郷に伝わる在来種。品種改良された一般的な蕎麦に対し、在来種は自然淘汰を経て残ってきた品種だけに、その土地の気候風土に最も適したものが残っています。かねさま蕎麦会は、昔から現在まで細々と受け継がれてきた秋山郷在来種を、県外の人にも広く伝える場を作りました。
 収穫した蕎麦は天日干しで乾燥させ、石臼で製粉し、手打ちにします。つなぎにはオヤマボクチと布海苔を使用。
 オヤマボクチは津南周辺の山にたくさん自生している山ゴボウの一種で、これを加えるとそばに強いコシと歯ごたえが出ます。けれど一枚の葉からとれるつなぎの量は、ほんのごくわずか。津南周辺の山にもたくさん自生していますが、かねさま蕎麦会では、供給を安定させるために、オヤマボクチも自家栽培しています。
 布海苔は、この地方でよくつなぎに使われる素材。源泉した国産のみを扱う地元の老舗から仕入れています。


まず塩で食べてみてください
 布海苔による喉ごしのよさ、オヤマボクチによるコシの強さ、そして秋山郷在来種特有の香りよさ、これがかねさま蕎麦の特徴です。
 撮影後、試食用のそばをいただこうとすると、そばの脇に藻塩の入った小皿が置いてありました。「まず、塩で食べてみてください」。秋山郷の蕎麦の香りを楽しむには、塩が一番いいそうです。
 まず何もつけずに一口、そしてごく少量の塩をつけていただいてみました。塩をつけると蕎麦の香りと甘みがぐっと引き立ちます。強い香りを想像していたのですが、決してそうではなく、すがすがしい香りがほのかに広がりました。歯ごたえもコシがあるのに固すぎず、いい感じです。
 そばつゆのだしは焙煎した焼津産のそうだかつおとさば、そして煮干しから引いているそうです。つゆは濃すぎず、すっきりと澄んだ味わい。そこにすだちとわさびを添えていただきます。すだちとわさびによって、そばのさわやかな香りがいっそう引き立ち、いい感じです。
 メニューは、盛り蕎麦、天ぷら盛り蕎麦、蕎麦三昧、かねさま御膳の四品。天ぷらの素材は山菜や旬の野菜が中心で、春はふきのとう、タラの芽、こごみなど地元で採れた山菜を楽しめます。そばは一日30食の限定販売なので、土・日は早めに行くのがおすすめです。

かねさま蕎麦会の名前の由来
 ところで、かねさま蕎麦会の名前は、庚申(こうしん)様の講に由来します。津南では、昔から庚申のことを「おかねさま」といい、、作神様として祀っていました。庚申講は豊作や無病息災を祈願する年中行事。昔、庚申の日には講仲間が農作物を持ち寄って当番の家に集まり、豊作を祈願したそうです、その後にふるまわれるご馳走の最後には、必ずみんなで打ったそばを食べたことから「かねさま蕎麦会」の名前がつきました。 
 かねさま蕎麦会は、ふるさとに増えていく耕作放棄地を前に、そば打ち名人たちが「自分たちにもできることをしよう」と立ち上がった会です。畑を開墾して蕎麦を育てるかねさま蕎麦会の取り組みはきっと、津南の土地をさらに豊かなものに変えていくでしょう。

かねさま蕎麦会ではつなぎに、オヤマボクチと布海苔を使用している。薄茶色のスポンジ状のものがつなぎのオヤマボクチ(雄山火口)。オヤマボクチは、葉の裏側のじょう毛というふわふわの繊維だけを取りだして使う。奥の赤紫のものが布海苔。店内はテーブル席と小上がりがある。


本当に安心し、自信を持って提供できるのは、自らの手によって手間暇かけて作ったもの。私たちは、畑の整備から、栽培・製粉・手打ちまですべてを自分たちで行うことで、安全で美味しいそばをお届けしています。津南の風土から生まれた秋山郷在来種の味を、ぜひ味わってみてください。
かねさま蕎麦会 理事長 滝沢元一郎さん

種を畑に蒔くところから、お客様の口に入るところまで、すべて自分たちで行う蕎麦屋さんです。在来線の駅の構内にある小さな店ですが、この店でしか食べられない秋山郷在来種のそばを味わえます。2011年の春には「全国そば優良生産表彰・日本蕎麦協会会長表彰」を受賞しました。JR在来線の駅の構内にありますが、味は一級品。日本一の駅そばです。
認定調査員 山岸


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