どぶろく特区製造免許取得 全国第一号のお酒
どぶろくは日本酒の原点ともいえるお酒です。お米を使った酒類としては最も素朴なお酒で、日本では古来より、収穫したお米とともにどぶろくを神に捧げ、来期の豊穣を祈願する地域がありました。むかしは農家でもよく造られていたお酒ですが、残念なことに、明治時代から酒税法によって自由に造ることが禁じられています。
素朴でありながら幻の酒となってしまったどぶろくですが、2002年の構造改革特別区域法によって、特別に認定された区域内(以下どぶろく特区)で製造免許を取得した人のみ製造できるようになりました。『どぶろく蔵元』は、そのどぶろく特区全国第一号の新潟県十日町市松代で製造されたお酒です。
農薬や化学肥料を使わずに自家栽培
このどぶろくを造っているのは、土地家屋調査士、行政書士をしながら貸民家「みらい」を営む若井明夫さん。若井さんのどぶろくの特徴は、原材料のお米の品質が抜きん出ていることです。
使用しているお米は、日本一の美味しさといわれる魚沼産コシヒカリ。それも、農薬や化学肥料を使わずに自家栽培したお米を100%使用しています。「できるだけ自然で安全なものを届けたくて」と若井さん。十日町市松代といえば、風向明媚な棚田の里としても有名です。「幸いここは環境に恵まれていますから、納得のいくものを自分で造ることができるんです」。
そのまま食べても美味しい魚沼産コシヒカリで仕込んだどぶろくです。その味わいは、どぶろく独特の酸味の中に、コシヒカリの甘みが生かされていて、後口はすっきり。とろりとなめらかな口あたりで、とても飲みやすいどぶろくです。
ところで、案内していただいたどぶろく製造所では、火入れ直前のどぶろくがふつふつと泡を立てていました。桶のフタを開けると、お酒のいい香りが漂います。「どぶろくの味は、米、水、麹の割合と、麹菌で決まります」と若井さん。若井さんのどぶろくは、ほかのどぶろくと比べると麹の割合が多いのだそうです。「このつぶつぶは麹のつぶ。お米はもう溶けています。このつぶから甘みが出てくるんですよ」。仕込みから約2週間、大体アルコール度数が14度になった頃に火入れして酵母の働きを止め、出荷します。
「以前は酒造好適米の五百万石で仕込んでいましたが、五百万石はきりっとした味になるんです。どぶろくは濃厚でとろりとした口あたりが魅力ですから、きりっとした五百万石よりも、甘みのあるコシヒカリの方が合うようですね」と若井さん。どぶろく特区全国第一号のお酒は魚沼産コシヒカリの味わい。その素朴で贅沢な味わいは、松代の若井さんならではのものです。ぜひ飲んでみてください。
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