伝統の大豆サトイラズとコシヒカリの米麹で仕込んだ生味噌
そんな楽しみの一つとして、新潟に来たらぜひ試していただきたいのが、「越後味噌」と呼ばれる新潟伝統の味噌。大豆を米麹で発酵させた米味噌で、同じ米麹を使う信州味噌よりも麹の量が多く、やや甘みのあるまろやかな味わいです。
その越後味噌を、原材料の栽培から仕込みまで徹底的にこだわって造っている人がいます。新潟県十日町市松代で貸民家「みらい」を営む若井明夫さん。安全・安心であることに一貫してこだわり、原材料の大豆から麹を起こす米に至るまで、農薬や化学肥料を一切使わずに自家栽培しています。味噌の仕込みも「2年以上熟成させた味噌に含まれる酵素がからだにいいんですよ」と昔ながらの天然醸造にこだわり、最低1年、杉桶で熟成させた味噌を販売しています。
原材料の大豆は、サトイラズを使用しています。サトイラズは、甘みが強いことから「サトイラズ=砂糖いらず」と名付けられた新潟県伝統の大豆。栽培に手間がかかり、収量を安定させるまでに何年もかかるため、今では作り手が少なく、希少な品種となっています。しかし、煮ると「砂糖がいらないほどうまい」といわれるほど、とてもいい甘みが出てきます。
米麹は、若井さんが自家栽培したコシヒカリから3日間かけて起こしたもの。味噌の麹は2日目から温度が安定しないので、麹を起こすときは2日間つきっきりになるのだそうです。塩は伊豆大島の海水からとった自然海塩の「海の精」を使用しています。
どの原材料も、自然・安全にこだわった厳選素材。これらの素材を使い、1月から3月にかけて寒の水で仕込みます。そうして杉桶の中で寝かせること1年。四季の変化の中で、じっくりと熟成させます。 杉桶で熟成のときを待つ 味噌蔵では20個の桶の味噌が熟成のときを待っていました。桶の一つひとつに、原材料の大豆の品種、塩、麹の種類が書いてあります。なかにはマクロビオティックの料理研究家からオーダーを受けた味噌や、酒米五百万石から起こした麹で仕込んだ味噌などもありました。「味噌は面白くてね。塩や麹菌の種類、寝かせた時間によって、色も香りも風味もどんどん変わってくるんですよ」と若井さん。昨年からは、玄米麹の仕込みにも挑戦しているのだそうです。
こうしてできあがった若井さんの米味噌は、とても素朴でまろやかな味わい。色はやや濃いめのブラウンですが、色の印象よりもずっと塩分が少なく、すっきりとした味わいです。販売は、若井さんの事務所であるワカイ測量(若井さんは土地家屋調査士であり、行政書士でもあり、貸民家みらいのご主人でもあります!)はもちろん、近くの越後まつだい里山食堂でも取り扱っていますので、ぜひ食べてみてください。
加熱殺菌はしておらず、麹菌が生きていますので、気温の高いところに置いておくと発酵が進んで膨張します。15℃以下の涼しい場所に置いてください。
木桶で2年以上寝かせた味噌には、麹菌からいい酵素が出て、旨みが熟成させる。若井さんが仕込みに使っているのは秋田製の杉桶。桶としてはまだ若い方だが、これから年を経て、味噌の味がどのように変わるのかとても楽しみだ。