お米の旨みをゆっくり引き出す山文独自の製法
「本物のおせんべいが食べたい!」という人に、ぜひ食べてほしい米菓です。パリッと快い歯ごたえ、そして、火であぶられたしょう油の深みのある香ばしさは、「もしや炭火焼きなのでは?」と思わせるほど。炭火焼きではありませんが、山文独自の焼き釜から生み出される唯一無二の美味しさです。
実はこの焼き釜、先代の社長(いまの社長のお父様)が大正時代に発明したもの。正真正銘、世界に一つしかない焼き釜です。美味しい米菓を作るには、炭火で一枚一枚返しながら焼くのが理想的なのだそうですが、そのようにして焼いていては、ごくわずかしか出荷できません。そこで、「限りなく炭火焼きに近い味を」と試行錯誤を重ねて作り上げたのが、この焼き釜です。企業秘密なので、焼き釜の全貌はお見せできませんが、大正時代からずっと山文の味を守り続けてきました。
この焼き釜の特徴は、炭火焼のようにたっぷりの火を使い、生地から蒸発した水分の逃げ道を作りながらゆっくりと焼き上げていくこと。生地に負担をかけないので、その分時間はかかりますが、これがお米の旨みを引き出す秘訣だそうです。噛むとパリッときれいに割れて、生地がバラリと砕けないのも山文独特のもの。この焼き釜でないと、その食感は出せません。
生地の状態を見極める目
焼き釜の火加減は、あられ・おかきの種類によって調節します。この火加減が職人さんの腕の見せどころ。あられ・おかきの種類によって、そして、生地の乾燥の具合によって火加減を変えていきます。聞けば、この生地の状態を見極めるのが一番重要で、一番難しい仕事だそうです。生地の乾燥が足りなくても、進みすぎていても、理想的なあられはできません。生地の表情は天候や気温によっても変わるので、生地の様子を見ながら、焼き釜の火加減を変えていきます。経験がものをいう職人の世界です。
生地の乾燥が予想よりも進んでいるときは、焼き釜のなかで生地がポンポンと飛び上がるそうなのですが、社長曰く「お米を暴れさせることで、かえってお米本来の旨みが出てくる」とのこと。ところどころプクッとふくれたあられは、形こそ無骨ですが、実はお米の美味しさを存分に味わえる一枚です。
噛むほどに広がるお米の旨みと甘み
取材している最中、まさにいま焼き釜から出てきたばかりのあられに、さっと一口しょう油をつけて、手にもたせてくれました。食べてみるとまだ温かく、その美味しさは一言では言い表せないほど。なんと贅沢な美味しさでしょうか。思わず「うま!」と大きな声をあげてしまいました。
味は、焼き餅のような甘みと、薄く焼き上げた生地の香ばしさが半々という感じでしょうか。噛むほどにお米の旨みと甘みがじんわりと広がります。最近では、お米の旨みを感じる米菓が本当に少ないのですが、山文の米菓はお米の味がしっかり楽しめます。聞けば、お米は新潟県産の最高級のもち米「こがねもち」を100%使用。「米菓の美味しさは、まず美味しい餅をつくことから」と、お米の品質にもこだわっています。
できるだけ自然で、安全・安心なものを
素材へのこだわりは、お米だけではありません。山文では、味つけに使う調味料も一つ一つ吟味しています。ちなみに「木精(こだま)」の味つけは、わずかに砂糖を入れたしょう油のみ。このしょう油がまた美味しく、塩気の裏にある甘みと旨みを感じさせる奥行きのある味わいです。後味もすっきりとしていて、あとにペタッとした甘みが残ることもありません。このすっきりとした後味は、化学調味料や添加物の入っていない自然な調味料の特徴です。
山文では、「自然のなかにこそ、本物の美味しさがある」という想いから、厳選された良質のお米を使い、化学調味料はもちろん、保存料や着色料などの合成添加物を加えずに、できるだけ昔ながらの製法で作ることを目標にしてきました。
その想いは、ユニフォームのTシャツからも読み取れます。わたしはちょっと読めなかったのですが…、聞けば「自然のなかにこそ、本物がある」という意味のことが書いてあるそうです。職人さんたちは、そのメッセージを背に、生地の声を聞きながら、ゆっくりじっくりとお米の旨みを引き出していきます。
素材の品質を大切にし、丹精を込めて作られる山文の米菓は、自信を持ってお勧めする本物の味です。
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